≪2001年の各月の動向≫ ファーストフローでは経済産業省のデータをもとに業界の動向を分析・検証し翌年度の傾向を読んでいる。今月で、昨年12月のデータが出揃い、2001年を通しての傾向がはっきりとした。
このうち、ファーストフローが分析したデータの一部を公開しよう。
緑のラインは新規入学生数を表し、1年の傾向をつかむことができる。12月は例年になくどこのスクールも新規生徒の契約が減少したという声を聞くが、数値的には前年比マイナス9ポイントとなった。
トータルでは新規入学生数も前年割れを起こした月は3ヶ月しかなく、後は全て前年を上回る結果を出した。個人を対象としたサービス業では、遊園地などに次ぎ、不況下にありがら非常に高い結果となった。
≪数字のポイント≫ 9月には英会話スクールに通う人口が60万人を超えた。全体の売上高が前年比で伸びていること、生徒数が増えていることから見て、英会話スクール業界はまだまだ右肩上がりの状況が続いていくと思われる。
この60万人という数字は英会話スクールにとって、市場シェア率を換算するひとつの目安となる。大手英会話スクールのNOVAは公称30万人の生徒がいるとされているので、シェア率は50%。驚異的な数字だといえるだろう。
各スクールもこの数字を元に年度計画を立ててみてはいかがだろうか。
また、特に気になるのは実数だが、これに関しては直接的に裏付ける資料がない。経産省の統計が日本全国をくまなくカバーしているとはいえないので、英会話人口の実数は60万人よりもさらに多いといえそうだが、実情はそうではない。実際には英会話スクールに対して解約を行わず通っていない生徒、つまり幽霊生徒が数多くいる現状を考慮すると、実際には最高で30%ぐらいダウンするというのが現実的な見方ではないだろうか。
この状況を裏付けるように、不況下の失業率が5%の上で推移しているにもかかわらず、英会話スクール業界の就業率は最高38%代にまで膨れ上がり、2002年1〜3月期の雇用見通しは20%という高い数字をはじき出した。
≪英会話スクールの目指す方向≫ 「不況だ、不況だ」という理由は明らかに英会話スクール業界では通用しないことが分かった。経営計画が行き詰まっているスクールはこのあたりで経営方針を転換しないといけなくなってきた。
サービスだけに力を入れて大手を批判して満足するスクールはもう通用しない。大手と同じ営業方法をとって成果を出さないスクールも成功しない。業界が上向きの今年の内にマーケットシェアを上げなくては、いずれ伸び率が止まったとき、下がりはじめたときに必ず破綻する。
じっくりと生徒といい関係を築きながら、というスクールも方針は間違っていない。しかし、その方針が正しいのならより多くの人にその良さを知ってもらうほうが良いに決まっているし、業界が伸びているのは明らかな事実なのだから、そのチャンスはますます大きくなっているといえるのだ。
ここで勢いと体力をつけて、ぜひともすばらしい経営をしてもらいたい。