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英会話業界でもチーズはなくなる
2002年3月29日
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前回のコラムでは顧客層の視点からこれからの英会話スクールの行方を語った。
今回は角度を変えて、可処分所得から客層を見ていこう。 ≪消費者の心理と財布のヒモ≫
ご存知の通り世の中不況だ。これは単純に、企業の勝ち組や負け組みの構成比で考えるより深刻だ。勝ち組企業で働いている人の中にもバブル期住宅ローン症候群(?)や子供成長型教育費増大症候群(?)に見られる「負け組み家族」が存在するからだ。これを「可処分所得の負け組み」と名付けよう。
可処分所得の負け組みとは、簡単に言うと「お小遣いが少ない」人たちだ。元気な企業で働くお父さんでも昼食代のアベレージを300円に置いている人が少なくない。これは単純にお小遣いが少ないからだ。
(ちなみに食費は必需性と娯楽性の両側面がある。世の中の傾向を見てマーチャンダイズするときは、消費者のレスポンスがシビアな外食産業を眺めると良い参考になる場合が多い)
世の中デフレなのは外食産業だけではない。英会話業界にも授業料のデフレは進行中で、マンツーマンしかり、入会金しかり、新分野のeラーニングなどは人件費の削減を海外生産方式(講師の人件費の安い南米在住のネイティブを活用)で行うなどユニクロ顔負けである。
さて、こうしたデフレはなぜ起きているのか。簡単に言うと安いものしか買えない消費者が増えてきたからだ。 10年前、世の中の大半の人は「中流消費者」だった。可処分所得が多かった。社会的な意味で「かっこいい」ものであればお金を出した。現在はどうか。社会的な欲求は「少ないお小遣い」には勝てず、生活的な意味で消費するようになった。要は「生きていくため」の消費だ。勘違いしてほしくないのだが決して貧しい訳ではなく、週末旅行に行くお金やタバコを買うお金は自分が楽しむ娯楽のために必要なので、社会的な欲求での購買を控えているだけだ。もちろん、娯楽だけではなく将来の不安を解消する資格取得や英会話上達のためにも節約するのだ。当然、この娯楽や不安解消のための購買もシビアになる。なにせ昼食300円の覚悟なのだ。
(さて、ここまで読んでいただいて「ウチのスクールはOL中心だ。お父さんのことなんか関係ないでしょ。」と考えてしまった方。先月の新規生徒入学数とケイマナのレスポンス数を考えてください。
前回のコラムにもありましたが、英会話を学ぶ生徒数は減っていません。にもかかわらず新規生徒も広告レスポンスも下降気味。いままで書いてきた「お父さんのお小遣い」の話、スクールの潜在顧客層には当てはまらないと考えていませんか。牛丼やハンバーガーやユニクロや発泡酒を買っているのは本当にお父さんだけでしょうか?)
≪顧客層分類の一般論≫
話を本題に戻して、可処分所得から見た購買層について。10年前に主流であった「中流消費者」は、現在約半分になったと言われている。直接英会話業界につながる訳ではないが、わかりやすく考えてみよう。「なんとなく英会話」にお金を払える人、つまり「パイ」は半分になってしまったということだ。それでは、もう半分はどこに行ったのか。日本では誰も大声では言わないが「貧富の差」が広がっている。無くなった「パイ」の半分の内、1/4は「上流側」へ、後の3/4は「下流側」へ推移したと言われる。(※注意:安易に価格を下げれば良い、という話では決してありません)
10年前と同じ売り方をしている経営者の皆さん。パイは半分になりました。「チーズはどこへ…」の本にもありましたが、残り半分を取りに旅へ出るのか、「なぜいなくなったのか?」とその場で考えながら痩せていくのか。決断に時間をかけている状況ではありません。 |