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業界を斬る!コラム(17)
グランダムの3校閉鎖  2002年4月29日
 
≪魔の5月≫

 5月というと去年を思い出す。何を隠そう、このコラムのシリーズで一番読まれているのが第四話「ブリタニカの倒産に見るもの」だ。消費者の検索結果を見てみると、「倒産」とか、「クーリングオフ」「中途解約」「ブリタニカ」などと入れているケースが非常に多い。消費者は常に英会話スクールが倒産するのではないか?と疑念を持っているのだ。
 銀行が平気で倒産する時代だからもっともなことでもある。


≪グランダムの経営母体≫

 業界の人であればかなり知っている人も多いと思うが、グランダムとLADOは現在学研の傘下にある。日本人なら誰もが知っている学研。学研は純粋に資本投資したかったのか(そんなわけはないが・・・)、英会話スクールの拠点がほしかったのか、正確な目的は測ることができないが、昨年にLADOも数校を閉鎖していることを考えてみると、一体何のためにこの各スクールを手に入れたのかが、見えてこない。何も見えてこない。

 戦略的なリストラなのであれば、横浜と名古屋がなぜ残るのかどうも釈然としない。東京都のスクール調査が話題性を持ったニュースになるように、英会話スクールの最も多い地域というのは東京なのだ。(ファーストフローの「全国の英会話スクール」を見てもらっても明らかです)
 売上は度外視で経費削減策かなとも思える。明確な戦略に裏打ちされた撤退ではなく、お荷物を手放す。精算するために買収したのではないかとさえ思えてくる。

 企業の持つ真意は予想でしか測ることができない。もしかしたら学研側に壮大なプランが存在するのかもしれないが、(例えば、新宿にはLADOもあるからグランダムはいらないとか・・・壮大ではないけども)マーケットはそうは思っていないらしい。
 学研の株価は1月下旬に100円割れをして以来、100円を超える基準にまでは回復したものの、グランダム閉鎖がマスコミに広まった3月下旬の株価からの変化はさほど見られない。


≪グランダムの特徴は≫

 グランダムでは英会話とパソコンの両方を自由に比率を決めて両方学ぶことのできる特殊なカリキュラムを持っている。マーケティングというのは簡単に言えば、ブランドイメージも含めて「特徴をいかに見せ、伝え、消費者の購買心理を刺激するか」ということが仕事であるから、英会話かパソコンかどっちつかずな態度があいまいに映ったのは否めないだろう。

 一挙両得を狙うのであれば、それ相応のマーケティングをすればよかったのだが、今となってはなんとも言いようがない。ファーストフローでリサーチできた限りのグランダムの営業方法は、フルコミッショナーにはがきとパンフを買わせ、街頭で配り来校し契約したら成功報酬がもらえるというもの。これは学研体制になってから、学研側が嫌っているという話もあるらしい。
 もうひとつは、電車の中吊り広告だろうか。
 どちらも単なる宣伝広告で、特徴を謳っていない。

ちなみにグランダムとLADOのHP世界ランキング(4/29現在)
■グランダム 1306277位
■LADO    1055713位

 ファーストフローでもマーケティングをコンサルすることがあるときは、この特徴を一体全体どう打ち出していくのかに頭のCPUをフル回転させる。どう控えめに見ても中規模以下のスクールでこの方法をとらずに生き残ることができるとは思いがたい。
 そして結果的に我々の目には「たぶん失敗したんだろう」と映った。


≪実際の倒産や閉鎖はは増えるのか≫

 閉鎖するか、倒産するか。その危険性はどのくらいあるのか。
 この見分け方は先述の「特徴の打ち出し方」にもヒントが隠されている。消費者の皆さんは、まずこのあたりを見てはどうだろうか。

 この見方だけで、こう言える。
 「閉鎖、倒産は間違いなく増える」

 この仮説を裏付けるように、経産省のデータでも実は新規事業所開設数は減っている。昨年は12ヶ月を通して右上がりであったにもかかわらず、だ。
 特徴を生み出せない、特徴が時代に合っていない、特徴を巧く世の中の人に知ってもらうことができない、こういったスクールはこの5年で淘汰されていくのではないかと見ている。

 あえて言おう、中規模スクールがどんどんつぶれる時代だ。
 どんなスクールでも安泰などありえない。消費者は万が一のとき(つまり1円もお金が返ってこない)のために正確な知識と、スクールを見る眼を養っておくことが必要ではないだろうか。