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失敗のマネージメント2・スクールポリシー 2001年10月15日 |
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≪優秀なアシスタント≫ 英会話スクールにおいて貴重な存在は、やはり何を置いても人材の一言に尽きる。日本人を講師として採用しているスクールの中には、帰国子女の講師がいたりしてそれ相応に教え方の上手い人材がいる場合がある。
彼らは教務面に非常に熱心に取り組むし、日本人の英会話に対する弱点なども正確に把握している場合が多い。 このような講師であれば「是非とも我が校に」と考える経営者の方もいると思う。しかし、そういった人材が来てくれない問題は経営サイドにある場合が多く、当然ながら上手く使いこなせることは稀であると言っていい。
得てしてスクールのレッスンというものは、そもそもグループレッスンを主体として運営されている。これはマネージメントの面からも効率がいいし、経費の面からも優れているということに間違いはない。
ただし教務の面から見た場合、グループレッスンをテクニカルに運営しようとすれば、レベル分けから始まって、最後にはカリキュラムに則して授業を進めなくてはならない。
そして、多くの場合はレベル分けが時間帯や教室のスペース、人員の問題で上手く分けることができなかったり、講師に教務をする実力がないという理由から講師の力量でレッスンをするために質にばらつきがでたり、ひどいケースではカリキュラムそのものがないということも実際に起こりえている。
このような場合の実情はかなり悲惨だ。 やる気と実力のある講師(国籍は問わない)が、もっと自分の力を生かすための新天地を求めて転職する場合がある。
しかし、それならまだ救いがある。 経営上最悪なのは、実権が彼らに移ってしまい、彼らに正義感があればあるほどレッスンを自分のスタイルで何とかしようとし、それによってさらにばらつきが出るというケースだ。教務面を充実させることがスクールを良くすることにつながるのは確かだが、基準が明確でなくマーケティング上で失敗することになる。
責任はもちろん経営者にある。 ≪スクールポリシーは何か≫ 残念ながらスクールを閉鎖せざるを得なかった経営者に話を聞くと、その大半がマーケティング面に疎く、教務面に力をいれて話をするのだが、その教務面でさえ講師がレッスンを行う基準となる「ルール」が設定されていないということが非常に多い。
レッスンの時間配分、カリキュラムの詳細、講師が自由に使える時間、各マテリアルなど。私達のクライアントの中にはこのように断言する人もいる。 「講師には絶対に好きにさせない」
「こちらが厳しく統一感を示さなくてはいけない」 残念ながら不良外人が多く、にもかかわらず彼らに払う給料が莫大であることを考え合わせると、この発言はうなずかざるを得ない。
ただし、スクールポリシーは単なる独裁ではなく、スクールの生命線である講師が喜んで納得するものでなくてはならない。学校教育を外人講師で行うだけではダメだ。
ここで、「あなたのスクールのポリシーは何ですか」と聞かれれば何と答えるだろう。 一本筋の通った基準がなければそこに集う人材は組織に魅力を感じないだろうし、基準があっても守られていない状況ではやはり同じである。
個人の自由を尊重スタイルでやっていては、この英会話スクール業界ではやっていけない。「個人の自由を尊重するスタイルが基準だ」「だからこれこれこういった完璧なやり方がある」というのなら万事OKだろう。
あまりにも経営者が経営の根幹を知らないケースが多い。 ≪スクールポリシーは集客につながるか≫
まずわかりやすいのは、均整の取れた人材の集まるスクールは体験レッスンに来てさえもらえれば、入会のクロージングアベレージが上がるだろう。 あとはどう知ってもらうのかというところだ。
この知ってもらうときにもスクールポリシーは大いに役立つ。 なぜなら現在の英会話スクール業界の現状はまだ、マスマーケティングが幅を利かせており、キャッチフレーズは「安い」「少人数」「駅から近い」などの”どこでも同じ状態”から抜け出していない。
誰がどこでも同じと思うのか?消費者がそう思うのだ。 ここでスクールポリシーが他のスクールとの違いとして引き立つ強力な武器となる。
経営者であるあなたが、どこもやっているからウチもやりましょう。時代の波に乗り遅れないようにしましょうでは、あたりまえだが通用はしない。理由は同じやり方なら体力のある大手が勝つに決まっているからだ。
しかし「大手では絶対に不可能な○○をウチはやっていますよ」「こんな画期的なことありましたか」ということができれば、少なくとも今の状態からよりはかなり集客に結びつく数字が増えるはずである。
これはキャッチフレーズでもあるのだが、実質でもあるのだ。 「言っていることとやっていることが一致している」 「尚且つ、そのレベルが非常に高い」
ということを打ち出すことができればマーケティングの基礎の部分は上々だ。 スクールポリシーのないスクールは針のない針千本のようなものだ。
スクールポリシーを貫き通す能力のない経営者は、英語の喋れない英会話教師よりも性質が悪い。 基本の基本だが、基本を見直すことからはじめてみる方が失敗しないマネージメントの近道になるということは間違いがない。
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